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トルコリラのFXスワップ運用が視野に

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2014年も年末が見えてきた11月。ここに来て、トルコリラを買うべき材料が出てきました。原油安です。エネルギー輸入国であるトルコにとって、原油価格の下落が経済に好循環をもたらす可能性が見えてきました。

加えて、日本と欧州の量的金融緩和が大きな要因としてリラを押し上げること。リラを押し下げていた米国の量的金融緩和が終了しようとしていること。これらの要因がトルコリラのFXレートにプラスに働こうとしています。

そろそろ、トルコリラのスワップ運用を考える時期がきたのかもしれません。今回は、トルコリラ長期スワップ運用の戦略と見通しを語りたいと思います。

原油安でトルコリラ上昇という材料

11月も終わりに差し掛かり、今年も年末相場の様相を呈してきました。直近の為替材料として、日本、欧州の追加金融緩和、米国の金融緩和策終了など。先進国の金融政策が大きく相場を動かしています。

一方の新興国トルコ。イスラム国問題以降、大きな為替の材料が出て来ていませんでした。しかし、ここに来て一つ、為替を動かす要因が浮上しています。原油価格の下落です。ここ2、3ヶ月、原油価格が下がり始めていることは、細々と日本のニュースでも報道されていました。世界的にも同様の傾向で、原油の価格レートが下がり始めています。

原油価格が上がると、トルコ経済にはプラスに働きます。なぜなら、トルコはエネルギー生産量がほとんどない国で、供給のほとんどを輸入に頼っているからです。これが慢性的な貿易赤字を引き起こしている訳ですが、原油価格の下落で、赤字幅が縮小する希望が出てきました。

“Turkey offers limited premium on new US dollar sukuk”(英国版Reuterから)

“That is super tight, but this is a perfect time for Turkey to come to market when oil prices are so low and Turkey being a net importer of oil,” said one bond trader who covers Middle East and Turkey.

「非常に厳しくはあるが、絶好の機会だ。こんな原油価格が安いときにトルコがマーケットで注目されるには。トルコは原油の純輸入国になりつつある。」中東とトルコをカバーするある債権トレーダーは言う。

“Everyone wants to get a bit of Turkey at the moment,” he added, pointing to recent trading in the sovereign’s conventional curve.

「皆、その時には、トルコをほんの少し、買いたくなるだろう。」と、国債の従来の(価格)曲線を指しながら、付け加えた。

For example, Turkey’s long-dated 6.625% 2045 has risen 10 points to 121.1 since the start of September, according to Tradeweb data.

トレードウェブのデータによると、トルコの2045年決済(利回り6.625%)の長期国債は、9月の始めから121.1にかけて10ポイント上昇している。

上記は、英国版ロイターの記事抜粋です。同記事はトルコのソブリン債についての記事ですが、トルコが買いである点は、為替と共通でしょう。原油価格の下落でトルコ経済が上向きになる希望が出てきました。

焦点となる原油価格の方は、来年から中東諸国が減産政策を取るかどうかに係ってきます。原油価格が下落すると、採掘量を減らして、供給を抑えるのが従来の資源国の戦略でした。しかし、アメリカがシェールガス革命で、エネルギー資源の算出量を増やしています。この点、石油産出国がどのような方針を取るのか、現在、不透明な状況です。詳細は、今週のOPEC会議が終われば明らかになるでしょう。

トルコ中銀は政策金利据え置き

もう一つのトレード材料として、政策金利の据え置きが上げられます。去る11月20日は、トルコ中銀の政策会合が開かれた日でした。同日、トルコ中銀は政策金利の据え置きを発表しています。

政策金利の据え置きをマーケットは好感。トルコリラは対ドル、対ユーロで買われる動きとなりました。

トルコリラ対ドルは見通し不透明トルコリラ対ドルは見通し不透明

対ドルでは、ここまで明確なリラ売りトレンドが発生してました。ただ、ここに来て、そのトレンドが怪しくなっています。「もしかしたら」という但し書きが付きますが、対ドルでもトルコリラが上昇する可能性が出てきました。「押し目」なのか「トレンド転換」なのかは、まだ、判断に時間が必要です。もっとも、上昇トレンドに転換しても、上昇トレンドというのは得てしてゆっくり進むので、慌てる必要はないと思います。

政策金利の据え置きは折り込み済みで、さしたる材料にはならないと考えていました。ただ、トルコの格付けがBB(ネガティブ)で維持された点、この辺りで下落は止まるかも知れません。また、しばらく前から米国や欧州の株式証券、また金利通貨代表の豪ドルが割高感を醸し出していました。相対的に、新興国マイナー通貨の割安感が高まってきているのでしょう。多少リスキーでも、トルコリラのような高金利通貨に投資しようという動きが出ているのかも知れません。

トルコリラのトレード戦略

今一度、各通貨別の値動きを振り返って、トルコリラのトレード戦略を考えてみましょう。対ドル、対ユーロ、対円で考えます。

トルコリラ対ドル

トルコリラ対ドルは見通し不透明トルコリラ対ドルは見通し不透明

ガンマチャートの考え方に基づけば、いまだにドル買い・リラ売りのトレンドが続いています。ただ、同時にトレンド転換の兆しが見えていることも確かです。正直、管理人も読み辛い展開だと思っています。それでも「あえてトレードするならば」という前提で持論を展開します。

値動きとしては、緩やかなリラ買い。上昇局面の典型的な傾向です。リラ買いの立場としてはやきもきし、リラ売りの立場としては損切りが難しい場面です。リラ買いなら浅めに損切りを入れて待ち、リラ売りなら大きく大幅下落の材料が出ることを期待する局面でしょう。

足下には、以下3つの材料が転がっています。

  • 原油安でトルコ赤字縮小の可能性(リラ買い)
  • 政策金利据え置きを市場が好感(リラ買い)
  • 米利上げの見通し後退(ドル買い・リラ売り)

2対1でリラ買いですが、米利上げ時期が不透明感の割に影響力大です。この点、繰り返しになりますが、トレードの判断がし辛い状況です。可能性を追うなら、むしろ、対ユーロ、対円でのトレードを考えるべきでしょう。

トルコリラ対ユーロ

21日にドラギ総裁がQE発言を行ったことで、大きくユーロ安に傾きました。ECBがABS(無担保社債=リスク資産)の買い入れを始めたとの発表で、欧州の金融緩和策が明確になったためです。ECBの量的金融緩和策は、大きなユーロ売り・リラ買いの材料です。

トルコリラ対ユーロはリラ買いトレンド発生かトルコリラ対ユーロはリラ買いトレンド発生か

値動きとしては、直近のレンジ相場をブレイクし、踊り場から次のステップに進もうという所でしょうか。対ユーロでは、リラ買いのチャンスです。特に、長期のトルコリラ保有をするなら、ここが建て時であると考えます。多少、割高感があってもリラ買い。何かの材料でリラ安となっても、押し目と考えて、買い増し。多少の無茶はしてもよいと考えます。あまりドル相場の影響を受けないこともポイントです。

今後の見通しとしては、個人的に以下の相場観を持って臨んでいます。

  • 年末にかけて、ファンド勢の決算を意識したユーロ売りが加速。
  • クリスマス休暇に一旦沈静化(押し目がある可能性は50:50)。
  • 新年に入って、再びユーロ売り加速。
  • 2月の決算前の時期に再び利益確定の動き。

ともかく、ユーロ売りの動きが強いので、トルコリラの長期保有を仕込む良いチャンスです。トルコリラ対ユーロは金利差=スワップポイントが大きいので、長期保有に向いています。難しい点は、どこで入るかという点でしょうか。順張りで臨むか、押し目で逆張りか。個人的には順張りで無茶してよいと考えます。

参考記事:ECB量的金融緩和を明言~新興国通貨買いの展望

トルコリラ対円

先日の日銀追加金融緩和発表以降、強い円安が続いています。ただ、衆議院解散を受けて、一旦、沈静化するものと見ています。可能性は薄くとも、選挙で与党が敗退するリスクが織り込まれるためです。

トルコリラ対円の上昇は一服するかトルコリラ対円の上昇は一服するか

選挙が12月14日に予定されています。おそらくは、その前後まで円安ムードとはならないでしょう。様子見ムードとなるのではないでしょうか。再び動き出すのは、選挙直前になってからと考えます。与党継続の期待感で買われることでしょう。

トルコリラ円を仕込むなら、選挙の前後と考えます。理由は前述の通りです。選択肢はリスクを取って、選挙前に仕込むか、選挙の後に材料が明確になってから仕込むかの違いだけです。与党勝利=円安継続が既定路線であると考えてよいでしょう。もちろん、万が一、与党が負ければネガティブサプライズとなる訳ですが。

トルコリラのスワップポイント11月

最後に、トルコリラのスワップポイントと証券会社の紹介です。トルコリラは、証券会社によって扱う通貨、スワップポイントの大小が異なります。

最新のスワップポイントは以下の通りです。

FX証券会社 TRYJPN
買い(Ask)
売り(Bid) USDTRY
買い(Ask)
売り(Bid) EURTRY
買い(Ask)
売り(Bid)
アヴァトレードジャパン +84 -142 -315 +188 -401 +241
サクソバンクFX +120 -151 -324 +255 -430 +345
OANDA Japan +84 -142 -315 +186 -396 +223
FXCMジャパン +73 -182 -421 +169 -554 +194
FXトレードフィナンシャル +80 -80 -190 +190 × ×
ヒロセ通商 +50 -75 -242 +165 -287 +180
SBI証券 SBIFXα +100 -150 × × × ×
セントラル短資FX +105 -110 × × × ×
マネースクエアジャパン +100 -120 × × × ×
最終更新日:2014.11.15

トルコリラの最新スワップポイント」のページで、毎月データを更新しています。証券会社にあるリンクは、各社の紹介ページにつながっています。

金利据え置きですので、あまりスワップポイントの大きさは先月とあまり変わっていません。ただ、前の章で書いた通り、トルコリラは対ユーロ、対円でなら買ってもよさそうです。

リラ買いとなると必然的にスワップポイントの高い証券会社が有利に働きます。対円ならセントラル短資かマネースクエアジャパン、対ユーロも視野に入れるならアヴァトレードがお勧めです。

長期保有の戦略では、スプレッドコストはあまり重要視しません。むしろ、スワップポイントの高さと、安定性があることの方が重要です。この点、安定感も考えて、本HPでは上記の証券会社をおすすめしています。後は、各自の好みでよいのではないでしょうか。

参考記事:スワップポイントで選ぶ証券会社

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