このページでは、FXにおけるトルコリラの特徴を説明したいと思います。
ざっと以下の内容をご紹介します。
新興国通貨としてのトルコリラの位置づけ
ドルやユーロはメジャー通貨と呼ばれています。 取引量が多いのです。その母国であるアメリカやユーロ圏は、いわゆる先進国にあたります。その一方で、トルコリラはマイナー通貨として国内では認識されています。 トルコという国そのものも新興国であるという認識が一般的です。
トルコは歴史ある国ではありますが、経済的には後発組みにあたります。 2000年頃から、ハイパーインフレーションやデノミといった経済危機に遭遇し、国家としも安定が揺らぐ時期がありました。 また、ギリシャと地理的に近いこともあり、ギリシャショックにより大きな影響を受けた国であると言えます。 近年は、経済政策によって安定感を取り戻しつつあります。 特に、高金利政策によるインフレ抑制に成功した兆しが見えます。
この高金利政策が、トルコリラ運用の高利回りを実現しています。高金利通貨を保有すると政策金利に見合った利子を受け取ることができるからです。このため、このような通貨は「金利通貨」と呼ばれています。高金利のトルコリラは、投資運用機関からは金利通貨のひとつとして認識されています。
- トルコリラは金利通貨に位置付けられます。
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為替取引・FXの通貨ペアとしては、スワップ金利の高さが魅力です。 南アフリカランドやブラジルレアルのような新興国全般に見られるように、トルコリラも高金利通貨の一角を成しています。 以前は高金利であったはずのオーストラリアで金利引下げが続いているため、新たな金利通貨の選択肢としての需要が高まっています。
トルコリラのスワップポイントが高い理由(わけ)
冒頭で少しご紹介しましたが、トルコではかつてハイパーインフレが発生しました。 ハイパーインフレというのは、いわばお金が紙切れ同然になることです。 相対的に物価は上昇し、国民生活に大きな支障をきたします。 この暫定措置として、トルコはデノミ(通貨切り上げ)を実施し、半ば強引に通貨の価値を高めました。
しかしながら、デノミは何度も使うことができる対応策ではありません。 例えるなら、『明日から10円玉を1000円として扱う!』というような、こじつけの手段です。 デノミを実施するたびに市場は混乱しますから、これでは通貨としての信用そのものが疑われてしまいます。 そのような訳で、経済安定化を図るには他の手段が必要になりました。
そこで行なわれたのが高金利政策です。
経済一般に、通貨の金利が高ければ、多くの人がリスクをとっても、その通貨を欲しがります。 なぜなら、持っているだけで金利がもらえるからです。 結果、トルコリラの需要は増加し、貨幣価値が上昇します。 このような理由でトルコ政府は、リラの高金利政策に舵を切りました。
- トルコの政策金利が高スワップポイントを生み出します。
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ご存知のように、FXのスワップ金利は、国と国との間の金利差によって発生します。 その点、トルコの政策金利は2013年11月現在で4.5%です。 日本の政策金利はほぼ0%ですから、トルコの政策金利がそのままトルコ円のスワップ金利に反映されます。
証券会社は、この金利差益を考慮して自社のスワップポイントを設定します。 各社独自の基準があるものの、往々にしてスワップポイントは金利差に比例します。 ですから、高金利なトルコリラの買い建てに対して、高スワップを提供する証券会社がある訳です。
国内の取引量はまだ少ない
2013年現在、国内の金融機関では、まだトルコリラの運用はメジャーではありません。 銀行・証券とも、近年、小規模ながら運用を始めたという実情があります。
これは他の国にも言えるようで、アジア・オセアニアタイムはトルコリラの相場が動きません。 新興国通貨のご多分に漏れず、流動性が低いのです。 夕方になって、金融大国のロンドン・アメリカが市場に入って来ないと、相場が動き出しません。
このことは、個人トレーダーの取引にも影響します。 値動きの粗さ、スプレッドの拡大、上記の取引時間の問題も、気をつけるべき事柄のひとつです。 特に、値動きの荒さはトルコリラの特徴を示す一つの象徴であるともいえます。