コラムとブログ PR

2014年トルコ統一地方選挙と4月為替相場の見通し

本ブログは記事内に商品プロモーションを含む場合があります

昨日3月30日はトルコの統一地方選挙でした。
今回の統一地方選挙は、与党信任の度合いを示すものでした。
言わば、エルドアン政権の可否を国民が問うものだった訳です。

結果は、与党の勝利。
為替相場の材料としては、政治的混乱のリスクが弱まった形です。
基本的に、リラ買いの材料です。

この取引材料を踏まえて、4月の相場を見通していきたいと思います。

トルコ地方選挙の結果

まずは、地方選挙の結果を振り返ってみましょう。
以下は、Bloombergのニュースです。

トルコ統一地方選で与党が勝利宣言-得票率46%と地元テレビ

3月30日(ブルームバーグ):トルコで30日投開票の統一地方選挙で、与党の公正発展党(AKP)が勝利を宣言した。統一地方選は汚職疑惑に見舞われたエルドアン政権への信任投票と見られていた。

同国のテレビ局NTVによると、開票率70%の時点でAKPの得票率は46%と、最大野党・共和人民党(CHP)の28%を上回っている。

ご覧の通り、選挙の結果はエルドアン政権勝利の形で幕を閉じました。
エルドアン政権は、都市部での反発はあるものの、地方部では以前根強い支持が集まっています。
その点、今回の選挙の結果は与党にとって妥当な結果に終わりました。

為替相場の材料一般として、与党勝利は政治リスクの後退を示します。
基本的に、その国の通貨は買われます。
今回のトルコ地方選挙でも、基本的に買いのスタンスで臨むべきでしょう。

この数ヶ月、トルコは汚職問題や景気後退のリスクから、ひたすらリラ安の傾向が続いてきました。
これに対し、トルコ中銀の為替介入や利上げなど、徐々にリラ買いの材料が出始めています。

今回の地方選挙は、8月の大統領選に向けた前哨戦の位置づけです。
この流れで8月まで政局が安定するようなら、リラ買いのチャンスがやってくるのではないでしょうか?
筆者は、そろそろ潮目が変わることを期待し始めても良いと考えるようになりました。

地方選挙後の為替相場の動き

さて、選挙の結果を受けて、本日3月31日の日本時間から早速動きが出ています。

トルコリラ統一地方選後の動きトルコリラ統一地方選後の動き

上のチャートは、本日現在のUSD/TRYチャートです。
チャートは下に行くほどトルコリラ買いとなります。
すでにシドニー市場・アジア市場のオープンタイムから、リラ買いの動きが出ています。

チャートの形としては、サポートである21日平均線を割り、ボリンジャーバンド-2σに張り付いています。
ADXのインジケータもUSD/TRY下落トレンドの発生を示唆しています。
どうやら、リラ買いのトレンドが形成されたと考えて良さそうです。

USD/TRYの動きをガンマチャートで見るUSD/TRYの動きをガンマチャートで見る

ガンマチャートを使って別の視点から見てみましょう。
こちらのチャートからも、短期筋の打診買いが見て取れます(ガンマチャートの見方については、「トルコリラのチャートの読み方」の記事を参考にしてください)。
やはり、買いのトレンド発生を伺えます。

結論として、リラ買いのトレンドが出たと考えてよいでしょう。
選挙の結果がマーケット好印象を与え、相場が素直にリラ買いに傾いたと考えます。
かくいう筆者も、ロンドン市場が始まる時間にUSD/TRYのショートポジションを持ちました。

4月の見通しとチャートポイント

最後に、少しトルコリラの今後の見通しを占ってみましょう。
以下のチャートのように、いくつか水平線を足してやるとヒントが見えてきそうです。

トルコリラ4月の見通しをテクニカルで考えるトルコリラ4月の見通しをテクニカルで考える
  1. レジスタンスライン①は、1月末に付けたUSD/TRYの最高値です。
  2. サポートライン①は、トルコ中銀が緊急利上げを行ったときの最安値です。
  3. レジスタンスライン②は、その後のリバウンドの高値です。

2月、3月の間はサポートライン①とレジスタンスライン②の間を行き来するだけで、方向感のない動きが続きました。
このサポートライン①とレジスタンスライン②の値幅Wが大きなヒントになります。

トレンドレスな状況では、短期筋の資金だけが動きます。
ここまで、値幅Wだけの幅で資金のやり取りがされてきました。
逆に言えば、短期筋が動かすことができる相場は、値幅Wの大きさだけです。

トルコリラ4月の見通しをテクニカルで考えるトルコリラ4月の見通しをテクニカルで考える

見方を変えると、短期筋が一斉に同じ下げ方向に向かうと、値幅W分だけ下げることが予想されます。
それがいま、今回の地方選を材料にサポートラインを割り、下げトレンドに向かっています。
すると、新たなサポートライン②が見えてくる訳です。

短期的には、サポートラインのUSD/TRY=2.1が目標価格です。
筆者は、このサポートラインで決済。そして押し目を待つというシナリオを描いています。

個人的な話をすると、これまでトルコリラは売り局面でしたので、現在のポジションは支払いスワップの安いヒロセ通商で建ててきました。
しかし、リラ買いのトレンドが見えてきたので、FX証券をシフトする必要がありそうです。

  1. 円安トレンドに乗じてセントラル短資FXでトルコリラ円をロング
  2. スプレッドの狭いOANDA JapanでUSD/TRYをショート

この2つが適切な選択肢であると考えています。

※このブログは、筆者個人の意見でありFXの取引を強要するものではありません。FXは自己責任でお願いします。

同じカテゴリーの関連記事
新興国通貨(マイナー通貨)とトルコリラ コラムとブログ

マイナー通貨とトルコリラの位置づけ

2014年10月13日
トルコリラの為替投資戦略
FXではユーロやドルのような、よく知られる通貨が人気です。これらの通貨はメジャー通貨と呼ばれます。FXに疎い方でもニュースを見ていれば大概の場合、耳に入ってくる通貨の名前が並びます …
コラムとブログ

日米欧の金融緩和策とマイナー通貨の見通し

2014年11月1日
トルコリラの為替投資戦略
先日、日銀の追加金融緩和が決まり、日本円は大幅な円安傾向となっています。加えて、欧州圏ではECB(欧州中央銀行)が金融緩和の具体化をすすめ、米国ではFRB(米連邦準備理事会)が …
チャイナバブルの本質 コラムとブログ

チャイナリスクの本質と市場への影響

2016年3月20日
トルコリラの為替投資戦略
昨年から問題になっている中国経済の成長鈍化懸念を扱いたいと思います。為替相場との因果関係を交えて語っていきます。 2016年の初頭から、ニュースを騒がせている中国市場。表 …