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トルコ雇用統計悪化でリラ最安値更新

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2015年4月のトルコリラ相場。ここでは、2つの大きな情報がありました。トルコ自動車生産の増加と失業率の悪化です。市場は、失業率悪化の発表の方に大きく反応。トルコリラは、またもや対ドルで最安値を更新する事態となりました。

背景には米利上げ時期の後ろ倒しに対する期待も見え隠れします。今回は、トルコ経済の材料を振り返りながら、米経済との対比でトルコリラ対ドル(USDTRY)を語ってみようと思います。チャートに見え隠れする「相場の空気」を読みとっていきましょう。

トルコ失業率増加でリラ売り

4月15日。トルコの四半期失業率が発表されました。結果は、11.3%(前回10.9%)で悪化。失業率という材料により、最近まで小康状態が続いていたトルコリラ相場がリラ売りに傾く結果となりました。

失業率悪化でリラ最安値更新失業率悪化でリラ最安値更新

トルコリラは対ドルで、またしても最安値を更新。対ドルで安値の余地があると先月のコラムで語ったばかりでしたが、早くも予想が当たる結果となりました。

参考:3月トルコリラ各通貨ペアのチャートと見通し

今回のポイントは、トルコ経済に焦点を当てた材料が久々に出てきたことです。昨年末から米国やユーロ圏の材料で相場が動いていたトルコリラですが、段々とトルコ経済そのものの指標で相場が動くようになってきました。

トルコ自動車生産数は増加したが

実は、トルコ雇用統計が発表される前から、少しずつですが、トルコ経済の取引材料が出始めていました。その一つが自動車生産数の増加です。

2015年3月 販売台数速報

トルコの3月販売は74.8%増、生産は26.5%増

3月の生産台数は前年同月比26.5%増の12万3,119台だった。このうち乗用車は18.9%増の7万2,781台、商用車もピックアップトラックが29.3%増の3万8,597台となり、商用車合計では39.4%増の5万338台となっている。1~3月の累計生産台数は前年同期比31.0%増の33万4,705台となり、2008年以来最高を記録している。 なお、3月の輸入台数は58.5%増の5万5,851台、輸出台数は9.4%増の8万9,956台となっている。

自動車産業ポータルMARKLINES」から

自動車生産数の伸びが増加していたので、てっきり経済は好調なように思っていました。どうやら、それは期待しすぎた結果の思いこみであったようです。リスクとは、経済では何が起こるか分からない不安感のことを指します。予想しにくいと言う点で、トルコリラは間違いなくリスク通貨であると言えます。4月の買い予想は大外れ。こればっかりは、なんともすることはできません。

ちなみに、トルコの自動車生産については、管理人も関心の高い事柄です。月初にコラムを記載してみました。ご参考までに。

参考:トルコの自動車産業と黒字化の課題

米長期金利利上げに対する期待と不安

話を経済に戻しましょう。トルコ経済の材料が出始めたとは言え、まだ米経済の先行きに対する期待と不安が相場を支配していると考えます。トルコ失業率が悪化したとは言え、材料の大きさに対して、トルコリラは売られ過ぎです。

背景には、米長期金利の利上げ時期が後退するとの期待があるのでしょう。金利引き上げが遅れれば、金融緩和の実効期間が続く訳で、先延ばしになればなるほど、投資家は高リスクを取らずに済みます。トルコリラのような新興国通貨は、リスク通貨です。米株、日本株で利益が期待できる間は、さらにリスクの高い新興国投資にまで、足を踏み入れる理由がありません。

米利上げ時期で3意見 多数派は「今年後半」2015/4/9付

米連邦準備理事会(FRB)は8日、3月17~18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。利上げ開始の時期を巡り、参加者の意見が「6月」「今年後半」「来年」の3つに割れていたことがわかった。イエレン議長は最近の講演で「今年後半」という表現を使っており、これがいまの多数派とみられる。

日本経済新聞」から

上記の引用記事に代表されるように、米利上げの時期が遅れそうだという相場の空気を感じます。当然、そんなものは思惑でしかなく、現段階で決定的な事実を決める材料とはなりえないのですが、肝心の実体経済は人の期待で動きます。期待に伴い、利上げが楽観視され、米ドルが買われているのでしょう。

実際問題として、米利上げの時期が後ろ倒しになる可能性は十分にあります。これまで、利上げの時期は6月という見方が強くありました。しかし、記事にあるように、多くの関係者が早期利上げを望まないのであれば、イェレン議長が強攻策を取るようなこともないでしょう。これまで見る限り、イェレンFRB議長はかなり穏健派の人です。

結論として、米利上げが始まる時期は、まだまだ先だと考えます。これに伴い、利上げ後に来る新興国投資ブームもまだ先でしょう。少なくとも、夏休みを跨いだ先。おそらく、年末とかその辺りの話でしょうか。ただ、仕込みの時期に関しては話が別です。最後に、この点に関して、少し語りましょう。

5月は米企業の決算時期

4月の相場はまだ中盤ですが、ここからの展開を見据えるのに来月の重要なイベントを押さえておく必要があります。5月といえば、米企業の決算時期です。以前も語りましたが、5月といえば、セルインメイの決算月です。2月の決算時期にあった値動きがもっと顕著に現れます。

参考記事:為替市場2月の傾向と対策

決算時期になると何が変わるかと言えば、ポジションの解消が進むことです。ただ、今回は資金が集中している米株の保有ポジションに調整が入りそうです。誤解を恐れずに平易な表現をすれば、「米株が売られる」と言ってよいでしょうか。これに伴い、ドルが下落すると考えます。

ドルが下落すると相対的に、トルコリラは上がります。トルコリラの保有ポジションも解消されるのですが、幸い(?)今年はトルコリラが下落しています。ドル対トルコリラ。どちらが保有ポジションが多いかと言えば、圧倒的にドル買いポジションでしょう。簡単な話、決算時期の調整でドルの方が売られ、消極的にトルコリラが上がるであろうという話です。

消極的な買いですから、圧倒的なリラ高という程にはならないと考えます。それでも、後で振り返れば、ここが底値になると予想します。5月を過ぎてサマーバケーションの匂いが漂えば、相場が凪ぐためです。緩やかにリラの買い戻しとなるのではないでしょうか。ドルコスト平均法や長期保有の仕切り直しをするなら、米企業の5月決算時期が仕込みの時期です。

まとめ

長々と脈絡なく、書いてしまいました。以下に本頁の内容をまとめます。

  • トルコリラは失業率悪化でリラ安更新。
  • それにしても、たかだか失業率悪化ごときでトルコリラは売られすぎ。
  • 背景には、マーケットに米利上げ時期に先送りの期待があると考える。
  • 利上げ時期が先送りになれば、投資家は無理にリスクを取らなくてよい。
  • それでも、年後半には利上げが来るはず。
  • 利上げがきたら、さらに高リスク選好でドル安リラ高。
  • 目先には、5月の米企業決算。
  • 企業決算に伴うポジション解消で、ドルが売られる。
  • 結果、消極的にトルコリラの買い戻しが行われる。
  • 結論として、5月の決算時期にトルコリラ底値となる可能性が生まれる。
  • 7月以降、夏休みの凪相場となるので、再度のリラ売り浴びせはない。
  • 長期保有の起点となるポジションを作るならこの時期か。
  • どこまで強気なのかは分かりませんが、いまだに2015年がトルコリラ相場の転換点だと、管理人は考えています。基本的な見方に変更はありません。今回のリラ下落で、ポジションの半分ほど決済しましたが、5月の安値が来れば、再び慎重に拾っていく予定です。

    ※本記事は、飽くまで管理人個人の意見を主張するものです。読者の方に取引を強要するものではありません。FXは自己責任です。個々人の判断で取引ください。