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トルコのクーデターとリラの短期見通し

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世間を騒がせているトルコのクーデターの一件。軍部の一部が反乱を企て、与党議員を拘束するにまで至りました。記事を書いている現在では既に収束の方向へ。事態は事件の黒幕探しへと移り変わっています。

クーデターの報を受け、トルコリラは日本時間の土曜日未明から大幅下落。ただ、事態の混乱のためか、最終配信レートは証券会社によって35円台だったり34円台だったりとまちまちです。いずれにせよ週明けから窓を空けての下落となることが予想されます。

読者の方にとって興味のあるのは、ここからの為替レートの見通しでしょう。今回は、事の顛末をまとめ、加えてリラの短期的な見通しについて述べていこうと思います。

クーデター失敗の顛末

最初にクーデターのおける一連の事態をまとめておきましょう。以下は時系列的にまとめた事件の推移です。

  • 7月16日(土)未明 トルコでクーデター発生の第一報。為替レートの状況を鑑みるに4時半頃。トルコリラは急落。クーデター派が現地メディアで勝利宣言をした模様。
  • 7月16日(土)午前 日本でもクーデターのニュースが各メディアに流れ始める。エルドアン大統領は無事。市民にクーデター派への対抗を呼びかける。EU諸国はエルドアン大統領を全面支持。
  • 7月16日(土)午後 クーデター失敗の報。被害の状況が明らかになりはじめる。市民の死傷者190人超。
  • 7月16日(土)夜 既に事態は黒幕探しへ。エルドアン大統領はイスラム指導者のギュレン師を糾弾。同氏は関与を否定。
  • 7月17日(日)朝 事態は収束。クーデター派兵士の投降が続く。逮捕者2800名超。

クーデター派からは、イスラム主義に凝り固まった現状を打開し、世俗派に則った新憲法を策定するとの声明が出されました。意外なことに、クーデターはイスラム主義によるものではなく、世俗派によるもの。原因は現政権のイスラム主義への反発でしょうか。トルコでは前ダウトオール首相退陣の前後から、政権がイスラム主義に回帰する傾向が続いていました。

参考:ダウトオール首相の辞任を巡るリラ暴落

トルコリラ今後のシナリオ

本ブログを訪れた方にとって興味のあるのは、トルコリラの今後の見通しでしょう。管理人なりの相場観を語っていきたいと思います。不謹慎かも知れませんが、キャピタルゲインでごっそり頂くチャンスと捕らえています。

飽くまで個人的な経験則による見通しです。根拠はあまりありません。シナリオといった方が良いでしょうか。あまり責任も持てません。それでも良ければ一読ください。

事態が落ち着けばリバウンド

直近ではトルコリラは大幅に下落することでしょう。値動きは荒く、スプレッドは拡大し、手を出してはいけない状況が続きます。総じてリラ売りドル買い、および円買い。「有事のドル買い」と言いますが、現在ではリスク回避の先として円の方が強いので、トルコリラ円の下落の方が大きいかもしれません。

事態が落ち着いた所で来るのがリバウンドです。カバー取り引きと逆張り派の買いが入り、どこかで為替レートが反転します。心理としては「クーデターと言ったって、なんだかんだで収束したじゃないか」という楽観論が蔓延することでしょう。谷深ければ山高しということで、大きなリバウンドが来ることが大いに想像されます。最初のエントリーポイントは、戻しの初動となります。

下値の目安はトルコリラ円だと直近安値で34円。ドルトルコリラでは3.0000といったところでしょうか。ただし、パニック相場に明確な下値は存在しません。リバウンドを狙うにはプライスアクションに注目する必要があります。トレーダー各個人の腕の見せ所になります。

半値戻しからの事実織り込み

リバウンドが一段落した所で、実体経済への影響を織り込む値動きが始まります。各所における物的・人的被害だとか、生産拠点の稼働停止とか、投資の分野ではトルコ投信等の解約等々です。特に投資分野ではトルコの治安について疑義が浮上し、将来の投資忌避の動きが先取りされます。

そんな訳で、戻り売りの場面がやってくると考えています。おそらくリバウンドの頂点は下落幅の半分程度。いわゆる「半値戻し」という所でしょうか。このあたりで再び下落トレンドに転じることを考え始めます。

下値の目安は、直近の安値になります。前述の暴落局面で付けた下値です。いわゆる二番底を付けにいくことでしょう。そこで上昇トレンドに転じるか否かがポイントです。

二番底での長期仕込み

最後に二番底の到来です。チャート的にはダブルボトムの形を取ると予想しています。管理人お得意のパターンです。

参考:ダブルボトムのチャートパターンとリラ底値拾い

長期保有派の狙い目となるところでしょう。慎重派はここまでエントリーを引っ張ります。もしくは、フライング買いや損切りで逃げ遅れた方々にとっては、早く戻してくれとやきもきする場面となります。

ただ、トルコリラに大きな買いが入って即戻すとは考えにくい場面です。おそらく将来のこの時点で、既に相場は夏入りです。いわゆる夏枯れ相場の到来で、積極的な買いが入るとは考えにくい状況であると予想します。まあ、スワップ派の方はそれでもいいのかも知れません。

あとがき

今回のクーデターに関する一件において、管理人の被害はごく微少なものでした。トルコリラは対ユーロで持っていたのですが、幸いなことに短期の打診買いポジションでした。あらかじめ入れておいた損切り注文に引っかかり、わずかな損失で済みました。備えあれば憂いなしとはこのことです。

記事を書いていて思い出したのは、実は昨年も同じ事態が起きたことです。トルコの爆弾テロが始まったのが、7月の全く同じ時期でした。ただ、今回のクーデターと異なるのは、当時はトルコの政権が機能していなかったことです。与党敗退で組閣が遅れ、政府の対応が遅れました。この点、当時のチャートを参考に出そうと思いましたが、背景が異なるので参考にならないと判断しました。

シナリオに関しては、本当に飽くまで個人の勘による所が大きいです。ただ不思議なことに、投資を10年以上続けていると変な勘が働くことがしばしばあります。管理人、なぜか金曜日に日本株の空売りポジションを作りました。今回の一件は、トルコリラに限らず、世界的なリスクオンに冷や水を浴びせる事件となるでしょう。多分、週明けから株式市場も下落すると思います。

あえて参考にしたものを挙げるのであれば、スキャンダルで下落した個別株のチャートです。以下は管理人の株式ブログから。クーデターであっても影響が一時的と判断すれば、心理相場で下落した所を買いで臨むのはアリだと考えます。

参考:大手企業のスキャンダル・不祥事で安値買い(日曜2限の株式講座)

当然ながら、メインの売買対象とするのは対円と対ドルです。円に関して言えば、既に円買いが始まっていて、再び100円割れを試すんじゃないかと思います。ただ、スタンダードに読みやすい値動きを狙うのなら対ドルでしょう。対円をトレードするにしても、プライスアクションに関しては対ドルチャートを横目に見ておくべきだと考えます。

参考:トルコリラを扱う証券会社の選び方

※本記事の内容は、飽くまで管理人個人の相場観を述べたものであり、将来に渡る事実を約束するものではありません。FXは自己責任です。読者の方のトレードに関し、当ブログでは一切の責任を持ちません。

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