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米利上げとトルコリラのトレード指針

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管理人がトルコリラの相場観を語るシリーズ。今回は、米国の利上げが新興国通貨へ与える影響と為替レートの見通しを語りたいと思います。10月のトルコリラ相場のトレードアイデアも考えます。

9月に実施されるとさんざんもてはやされたFRB長期金利の利上げ。結局の所は見送られ、ますます市場に漂う不透明感が深くなりました。当然ながら、トルコリラ市場の先行きも不透明。9月はもやもやと過ごされた方も多かったと思います。

そこで今回は、ここまで出てきた材料の見直しと、10月の予定からトレードの指針となる記事を書いていこうと思います。

不透明感漂う9月

直近の為替相場でもっとも注目されている材料と言えば、FRBによる米長期金利の利上げの有無です。いまや、トルコ含む新興国の為替動向はすべて米経済の先行きに掛かっていると考えてもよいでしょう。日本や欧州の金融緩和が材料とされていたのは、2015年上期まで。10月以降の2015年下期は利上げの有無と進捗の程度が一番のトレード材料になると考えます。

10月に入ろうかという現在でも、利上げの時期は不透明。年内だとか、10月だとか、いやいや来年だとか、金融各紙の情報を見てもコンセンザスが整っていません。9月にFRBが利上げを見送ったことで、ますます市場に不透明感が漂ってきたという状況があります。

ジャネット・イェレンFRB議長ジャネット・イェレンFRB議長

もっとも、FRB議長ジャネット・イェレン女史の発言を紐解いていくと「利上げの時期については重要視すべきではない」との思いを匂わせています。彼女の文言にある「市場にインパクトを与える利上げは考えていない」という言葉が端的に主張を示しています。この発言から、飽くまでFRBは従来通りのソフトランディングを目指していて、利上げで市場を混乱させたくないという意図がよく分かります。

利上げは折り込み済みか

問題となるのは、市場の反応は必ずしもFRBのコントロール通りには行かないことです。特にヘッジファンドなんてチャートを動かしてなんぼですから、利上げは格好のトレード材料です。市場のニュースでは「利上げ観測」という言葉で表現されますね。「利上げに対する市場の思惑がどちらに向いているか」「結果、市場参加者はどう考えているのか」。これらの複雑な思惑が「利上げ観測」というキーワードに凝縮されています。

利上げ観測を考える上で重要な点がひとつ。それは、今のドル相場がどれほど利上げを織り込んでいるかいるかという点です。

  • 利上げが織り込まれていない → 米経済が思いのほか好調だと気付く → 米ドルが買われる
  • 利上げは折り込み済み → 現在のドル相場は既に割高 → 利上げを確信した所で利益確定の売り

極端な話、米ドルレートの上下だけで、上記2つのケースが考えられます。途中省きましたが、米ドルがこれまで買われてきたのは、米国債を買うために資金が集中しているからですね。市場メカニズムは、以下の通りです。

  • アメリカの景気が良い=米国債が買われる=米ドルが必要=ドル買い

利上げが新興国通貨に与える影響

本題であるトルコ含む新興国の為替レートに視点を移しましょう。米金融緩和が始まって以来、前述のメカニズムで米ドルは独り勝ちを続けてきました。トルコリラ含むマイナー通貨は、その煽りを受けて下落続き。新興国市場への投資が全て米国に持って行かれた形になっています。

  • アメリカの量的金融緩和=米国債(ドル)が買われる=新興国通貨は売られる

この因果関係は、ドルインデックスの指標とトルコリラのチャートを見比べれば分かります。簡単な話、新興国マイナー通貨はドルとは逆相関の関係にあるのです。量的金融緩和が始まってからというもの、金利目的のマイナー通貨から安全資産の米国債権に、各国ファンドの投資先が移ってしまったのですね。リスク通貨であるトルコリラにとっては、米国の量的金融緩和策がさっさと終わってくれた方が都合が良いのですね。

ところで気付かれましたか?トルコリラが利上げで買われる10月のシナリオを。直近の相場でトルコリラが買われる筋書きは、利上げが実施され、なおかつ、それが市場の折り込み済みであった場合です。利上げ実施により、改めて市場参加者は金融緩和の終わりを確認し、もうはや米国債に新たな買い手がいなくなったことに気付きます。このシナリオが顕在化すれば、これまで米国債に集中していた投資資金がリスク通貨に移っていき、金融緩和前の状況に戻っていくものと考えています。

参考記事:金利上昇で新興国投資をするファンドの事情

注目すべき材料と10月の予定

管理人の個人としては、既に8割程度、米国利上げは市場に織り込まれていると考えています。理由としては、9月の利上げ先送りで市場が反応しなかったことや、利上げで増益期待の掛かる銀行株が買われていること、直近では中国の動向が目立った材料として扱われていることなどでしょうか。イェレン議長の発言でも、大して為替レートが動きませんでしたしね。

それでも利上げが折り込み済みであったことを確認をするための材料が市場には必要でしょう。経済指標です。10月の予定を見てみましょう。以下に10月の主な経済指標を列記します。

10月1日(木)

  • 日銀短観(日本)
  • 失業保険申請件数(アメリカ)
  • ISM製造業雇用指数+景況指数(アメリカ)

10月2日(金)

  • 非農業部門雇用者数増減+失業率=雇用統計(アメリカ)

10月5日(月)

  • CPI+消費者物価指数(トルコ)
  • ISM非製造業雇用指数+景況指数(アメリカ)

10月15日(木)

  • トルコ四半期失業率+財政収支(トルコ)

ポイントは月の前半に集中するアメリカの経済指標(雇用統計含む)です。米利上げの意志決定は雇用状況を根拠としますから、指標発表でなにかしら動きがあるかも知れません。少なくとも、指標を材料に市場参加者がレートを動かしてくることでしょう。繰り返しになりますが、ヘッジファンドにとっては利上げ絡みの思惑は格好のトレード材料です。

管理人のトレード指針

管理人のトレードの指針は、前述した「ドル高トレンドの終焉~リラ高転換」のシナリオでいこうと考えています。利上げを織り込み始めて、リラ売りトレンドは頭打ちだろうという考えです。少なくとも、10月に突然、リラ売りが進むようなことはないとも考えます。10月はヘッジファンドの決算月で、ポジション調整が主体であるからです。あわよくば決算の数字を作るために、ここまで積上げられてきたリラ売りポジションが清算されるかもしれませんしね。

そのような訳で、恐る恐るながらも従来のトレンドに逆らっていくつもりです。ここら辺でトレンドの転換点となれば面白いと考えます。現在の段階で、既に長期保有目的のポジションを対円・対ドルで仕込み済み。指標で方向性を確認したら、さらに買い増しというスタイルを考えています。まあ、トルコリラは何があるか分かりませんから、あまりに状況がひどければドテンもありますが。

参考記事:トルコリラの長期保有戦略

最終判断はチャートと睨めっこですね。USD/TRYやEUR/TRYのチャートを見てみると、直近で進んだリラ安トレンドが底打ちしてもよさそうな感じをしています。ここら辺のチャート分析の見方は、近いうちに記事にしてみようと思います。

※本記事は管理人個人の主張を述べたもので、将来的に「的外れだった」となる可能性を存分に含んでいます。読者の方にトレードを強要するものではありません。FXの取引は、自己責任で行ってください。