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トルコリラは最安値を更新してこそ長期トレンドが転換する

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Bloombergにトルコの格付けに関する記事が掲載されました。ムーディーズによるソブリン格付けがジャンク級に引き下げられたとのこと。多くのFX関連のニュースで報じられているのでご存知の方は多いことでしょう。このニュースと同時にトルコリラは朝方から窓を開けて下落しています。

個人的にこのニュースを聞いて予想しているのが、トルコリラの安値更新です。従来から対ドルで下落を続けてきたトルコリラですが、今年の初めからレンジ相場を展開していました。これはいま一つ煮え切らず、面白くない展開だと考えていました。なぜなら、チャートというものは最後のトドメの売り、いわゆるセリングクライマックスを迎えないと転換しないからです。

この点、今回のジャンク級引き下げでセリングクライマックスが来るかも知れません。むしろ、セリクラを迎えた方が、長期下落トレンドが上昇転換しやすいだろうと考えます。という訳で、トルコリラの最安値更新に逆説的な期待を込めた記事を書いていこうと考えます。

ムーディーズによる格付け引き下げ

はじめにトルコのソブリン格付け引き下げによるニュースの概要から。Bloombergによると、下記の通りトルコの信用格付けがジャンク級に引き下げられたことが報じられています。2016年9月23日(金)未明の出来事です。

26日のトルコ金融市場で通貨と株、債券の相場がいずれも下落。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがトルコのソブリン格付けをジャンク級(投機的格付け)に引き下げた。

イスタンブール時間午前10時23分(日本時間午後4時23分)現在、通貨リラは0.8%安の1ドル=2.9882リラ。株式市場ではイスタンブール100種指数が3.8%安と、7月21日以来の大幅安。

2026年4月償還のドル建て国債の利回りは29ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.57%。自国通貨建て10年国債の利回りは2カ月余りで最も大きく上昇し9.92%。

ムーディーズは23日遅く、トルコを1段階格下げ。格付けをジャンク級では最上位となる「Ba1」に引き下げた。海外からの資金調達のニーズと経済成長の減速をリスク要因に挙げた。

ムーディーズは7月15日のクーデター未遂の3日後、トルコ格付けの引き下げ方向での見直しを開始していた。S&Pグローバル・レーティングはクーデター未遂後直ちに格下げしており、投資適格としているのはフィッチ・レーティングスのみとなった。

ソブリン格付けというのは何かというと、要はトルコの国そのものが投資に適当か否かを示すための等級表示です。これまではBaa3という投資適格級にあったものが、Ba1なるジャンク級、投機的水準に引き下げられました。簡単に言って、投資をする場合の保証はしないよという水準にまで引き下げられたのです。記載されている通り、格下げの直接の要因は8月にあったクーデター事件です。この点に関しては、S&Pが先行して格下げを実施していました。

今回のニュースで新しい点は、ムーディーズが今後2、3年の資本流出を懸念していることです。海外からの投資案件が減り、景気減速のリスクが高まるという訳でしょう。クーデターそのものに加え、その後の法的対応にも懸念があるとの見方もしています。いずれにせよ、投資等級が下がったことで一定の資本流出が生じることは避けられません。

トルコリラの長期チャートを分析

前述のニュースを受けて、トルコリラは週明けから窓を空けて下落する状況に見舞われました。冒頭に書いてしまいましたが、管理人はここからトルコリラが最安値を目指すのではないかと考えています。この分析を長期チャートで見ていきましょう。以下はトルコリラ対ドルのチャートを月足で見たものです。

トルコリラ対ドルの長期チャートとレンジ相場

ご覧の通り、トルコリラは対ドルでしばしレンジ相場を続けていました。セントラル短資FXの口座開設者向けに書いたレポートでは「2016年は迷いの年」という単語で表現しました。ここら辺ではうまく予想が当り、安値で買い高値で売るトレードがうまく機能してきたと思います。

ただ、レンジ相場もここまででしょうか。長らく長期チャートを眺めていて腑に落ちなかったことがあります。クーデターがあってもレンジの上限を上抜けなかったことです。というのも、チャート分析の一つであるエリオット波動で考えると、現在のレンジ相場は「第4波」に当ります。その場合、同手法ではこの後に「第5波」と呼ばれるセリングクライマックスが来るはずなのです。

トルコリラはエリオット波動に合致するか

エリオット波動そのものは万事に通用する分析手法でもありません。ただ、うまくツボにはまると非常に展開を読みやすくなります。この点、題名に「最安値更新を期待」と書いたのは、うまくセリクラが来るようなら分析手法のツボにはまり、近い将来の展開が読みやすくなるためです。正直、ここから対ドルで安値を更新してUSD/TRY=3.2000位まで伸びてくれれば、今後の値動きが読みやすくなるので助かると考えています。

格下げ後のレート見通し

最後に管理人なりの相場感を語っていきましょう。二つのシナリオを用意しています。このまま最安値を更新するパターンと耐え抜くパターンです。

一つ目のパターンは最安値更新する場合です。USD/TRY=3.0000を抜けてくればエリオット波動のチャートパターンに嵌ります。将来の展開は、右肩上がりのヘッドアンドショルダーです。先に書いたように、うまくパターンに嵌ってくれるので、今後は買いやすくなります。

トルコリラのセリクラ後に来る値動き

ファンダメンタル材料として、年内の米国利上げが連想されます。おそらく年末の大統領戦と併せて利上げの思惑が交錯し、もう一波乱あることでしょう。この点、エリオット波動の波乱相場が来る時期とイベントが重なる時期が一致します。ですので、個人的にはこちらのシナリオがしっくり来ています。かなり急激な展開となるでしょうから、振り落とされないように注意しなければなりません。

もう一つのパターンが安値を耐え抜いてテーブルトップを形成するシナリオです。こちらのパターンを形成するには、かなりの好材料が続かなければ厳しいと思います。ただ、テーブルの上限で耐え抜いたとしてもレンジは継続するので安値更新の懸念が消えません。むしろ相場を難しくしそうです。

トルコリラがテーブルトップを描くパターン

いずれのパターンでも共通して言えることは、最安値のラインであるUSD/TRY=3.0000辺りでの値動きが重要である点です。ここをスコーンと抜けると最安値更新となる可能性が高まります。逆にジリジリと攻防が繰り広げられると次の展開が読みづらくなります。。繰り返しになりますが、個人的にはレンジ上限をとっとと抜けて市場最安値を更新し、相場の垢が抜けることを期待しています。

※本記事は筆者個人の主観に基づき記載したものであって、将来に渡る事実を約束するものではありません。FXを始めとした投資・投機には不確定要素を多分に含みます。トレードに当っては、自己の裁量のもので行なってください。

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